专利摘要:
本明細書では、生体外で増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞を生成するための方法を開示する。本方法は、ヒトドナーから末梢血単核球を含む試料を抽出する工程を含む。抽出された細胞には、CD4+CD25+制御性T細胞である所与の数の細胞が含まれる。Treg細胞が試料中の細胞の大半を構成するようにCD4+CD25+制御性T細胞の相対集団を増強する。この後、第三者由来のTreg細胞を含み得る、濃縮されたTreg細胞の集団を増殖させて移植片対宿主病(GVHD)の治療に使用するための臨床的に有用な細胞の集団を得る。
公开号:JP2011505378A
申请号:JP2010536216
申请日:2008-12-01
公开日:2011-02-24
发明作者:カオ・ティンファ;リー・リー
申请人:セラコス・インコーポレイテッドTherakos, Inc.;
IPC主号:A61K35-14
专利说明:

[0001] 〔関連出願の相互参照〕
本願は、参照により本明細書にその全容を組み込む2007年11月30日出願の同時係属中の米国仮特許出願第60/991,301号、及び2007年12月5日出願の同第60/992,347号に基づく優先権及びその利益を主張するものである。]
[0002] 〔発明の分野〕
本発明は、一実施形態において、CD4+CD25+制御性T細胞を生体外増殖させるための方法に関する。本方法は、ヒトドナーから末梢血単核球を含む試料を抽出する工程を含む。抽出された細胞には、CD4+CD25+制御性T細胞である所与の数の細胞が含まれる。Treg細胞が試料中の細胞の大半を構成するようにCD4+CD25+制御性T細胞の相対集団を濃縮する。この後、第三者ドナーに由来するTreg細胞を含み得る、濃縮されたTreg細胞の集団を増殖させてGVHD(移植片対宿主病)の治療に使用するための臨床的に有用な細胞の集団を得る。]
[0003] 〔発明の背景〕
同種間の造血幹細胞移植(HSCT)は、血液悪性腫瘍及び遺伝性血液疾患の潜在的に有効な治療法である。臨床的HSCTにおける主要な障害かつ致死的な合併症の1つに、活性化したドナーT細胞によって宿主の組織が広範に攻撃される移植片対宿主病(GVHD)がある。低グレードの移植片対宿主効果は、悪性細胞を死滅させるうえで重要な役割を担っていると考えられるが、重篤なGVHDはHSCTを受ける患者における死亡例及び発病例の主因となっている。グレードII〜IVの急性GVHDのリスクは、同種幹細胞移植後には70%に達する。カルシニューリン阻害剤及びステロイドなどの各種の免疫抑制剤がGVHDのリスクを低減するために広く用いられているが、グレードII〜IVのGVHDの患者の50%以上で現在用いられているこうした治療法では治療効果が得られない。更に、高用量の免疫抑制剤の使用により、免疫再構築が妨げられ、T細胞により媒介される移植片対白血病(GVL)応答が消失する。従来の治療法による治療の高い失敗率のため、代替的なGVHDの治療法が望まれている。]
[0004] 〔発明の概要〕
本発明は、その一形態において、CD4+CD25+Treg細胞の濃縮試料を生成するための方法を含む。本発明の教示に従って単離及び増殖された細胞は、GVHDの症状を治療するうえで有用である。]
図面の簡単な説明

[0005] 本発明を付属の図面を参照しつつ開示する。
精製の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
精製の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
精製の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
増殖の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
増殖の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
増殖の前後のCD4+CD25+Treg細胞の純度のグラフ。
CD4+CD25+Treg細胞の表現型の特徴を示す複数のグラフを示したもの。
長期間の増殖後のCD4+CD25+Treg細胞の特定の表現型変化を示すグラフ。
長期間の増殖後のCD4+CD25+Treg細胞の特定の表現型変化を示すグラフ。
CD4+CD25+Treg細胞のIn Vitroでの抑制活性を示すグラフ。
CD4+CD25+Treg細胞のIn Vitroでの抑制活性を示すグラフ。
CD4+CD25+Treg細胞のIn Vitroでの抑制活性を示すグラフ。
NOD/SCIDマウスにおけるDTH様の局所炎症に対するTreg細胞の影響を示す図。
NOD/SCID GVHDマウスモデルに対するTreg細胞の影響を示す図。
NOD/SCID GVHDマウスモデルに対するTreg細胞の影響を示す図。
NOD/SCID GVHDマウスモデルに対するTreg細胞の影響を示す図。
NOD/SCID GVHDマウスモデルに対するTreg細胞の影響を示す図。
NOD/SCID GVHDマウスモデルに対するTreg細胞の影響を示す図。
インビトロの抑制アッセイにおいて、増殖させたヒトTregが、同種CD4+CD25−TエフェクターT細胞の増殖及び自家CD4+CD25−TエフェクターT細胞の増殖の両方を同様に阻害したことを示すグラフ。
インビトロの抑制アッセイにおいて、増殖させたヒトTregが、同種CD4+CD25−TエフェクターT細胞の増殖及び自家CD4+CD25−TエフェクターT細胞の増殖の両方を同様に阻害したことを示すグラフ。]
[0006] 複数の図面を通じて、対応する参照符号は対応する部材を示す。本明細書に述べる実施例は、発明の異なる実施形態を説明するものであって、発明の範囲をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。]
[0007] 〔詳細な説明〕
一実施形態では、本発明は、ヒトCD4+CD25+Treg細胞を健康なドナーから抽出するための方法に関する。Treg細胞(即ち、制御性T細胞)は、免疫系の活性化を抑制することによって自己免疫疾患を防止する細胞である。CD4及びCD25は、特定の細胞によって発現され得るタンパク質である。したがって、CD4+かつCD25+であるTreg細胞はTreg細胞のサブセットである。リンパ球や全血などの未処理の血液試料をドナーから抜き取る。未処理の抽出物を精製してCD4+CD25+Treg細胞の相対集団を濃縮する。濃縮された試料を生体外で増殖させてCD4+CD25+Treg細胞の相対集団を維持しつつ全細胞数を増やす。得られた細胞を患者に投与し、GVHDの症状を防止するのに役立てる。]
[0008] 健康なドナーからのヒト末梢血単位は、商業的な血液銀行(commercial blood blanks)から購入するか、従来の技術を用いてドナーから直接得ることができる。最初に末梢血単核球(PBMC)を、Ficoll Hypaque(アマシャム社(Amersham))を用いて密度勾配遠心分離によって血液試料から単離する。標準的な単離用キット(例、ミルテニー・バイオテック社(Miltenyi Biotec)(カリフォルニア州オーバーン)より販売されるヒトCD4+CD25+制御性T細胞を使用したautoMACSなど)を製造者の指示に従って使用し、単離されたPBMCからCD4+CD25+Treg細胞を精製する。例えば、最初に、ヒトCBS、CD14、CD16、CD19、CD36、CD56、CD123、TCRY/6及びCD235aに対するモノクローナル抗体の混合物によって非CD4細胞を枯渇させることによってCD4+T細胞をPMBCからネガティブ単離する。次いで、濃縮されたCD4+T細胞集団から、抗ヒトCD25抗体接合マイクロビーズを用いてヒトCD4+CD25+Tregをポジティブ単離する。必要に応じて、精製後にフローサイトメトリーによって単離細胞の純度を求めてもよい。]
[0009] 精製したヒトCD4+CD25+Tregは、組み換えヒトIL−2(rhIL−2、1000U/mL、R&Dシステムズ社(R&Dsystems))の存在下、CD3/CD28 T Cell Expander Dynalbeads(インビトロジェン(Invitrogen)社)を用い、市販の細胞培養バッグ(ミルテニー・バイオテック社(Miltenyi Biotec)及びLIFECELL、バクスター社(Baxter))又は細胞培養プレート中で生体外で活性化及び増殖させる。CD4+CD25+Tregは、10%熱不活化ヒトAB血清(ロンザ社(Lonza)、メリーランド州)、L−グルタミン、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン、ストレプトマイシン(ギブコ社(Gibco))を添加したX−VIVO(商標)15培地中で培養した。rhIL−2を含む新鮮な培地を週に2〜3回加えた。2週間後、CD3/CD28ビーズをTregから除去し、この後、増殖させたTregを1〜2日間、低濃度のIL−2(50U/mL)を含む培地中でインビトロキャラクタリゼーション及び機能分析を行うまで休ませた。ラパマイシン及び/又はDRBなどの特定の添加物は試料を濃縮し、増殖過程の間に高い純度を維持するうえで有用である。]
[0010] <ヒトTreg細胞の生体外増殖の実施例>
ヒトCD4+CD25+Tregを、正常なドナー(n=16)の全血構成成分(whole blood units)又はleukopakから得たPBMCから、autoMACS及びヒトCD4+CD25+制御性T細胞単離キットにより精製した。単離したCD4+CD25+Tregの純度を細胞内Foxp3染色により求めた。CD4陽性細胞は、これらの精製細胞の90%〜98%を構成し、その内、平均で55%がFoxp3陽性であった(40%〜78%の範囲)(図1B、1C)。これらの結果は、Foxp3+Tregが集団のわずか約1%、又はCD4+T細胞の10%を構成するPBMCから、ヒトTregが大幅に濃縮され得ることを示すものであった(図1A、1C)。Tregの収率はPBMCの約0.5%であった。試験を行った6人の正常ドナーのleukopak(2〜6×109個のPBL)において、各ドナーから少なくとも1×107個のTregを得ることができた。これらの結果は、ClinMACS(ミルテニー・バイオテック社(Miltenyi Biotec)(カリフォルニア州))を用いた大規模な精製においても確認された。有利な点として、増殖期間が約2週間である場合には細胞の全体の組成に対するCD4+CD25+細胞の集団は大きく変化しなかった。機能的な観点からは、増殖させた集団は、治療目的で使用される際に所望の生物学的効果を維持するうえで充分な組成を有することが望ましい。一実施形態では、相対集団は約10%よりも大きく変化することはない。] 図1A 図1B
[0011] 次いで、濃縮されたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregを、rhIL2及び10%の熱不活化ヒト男性AB血清を含むX−VIVO15(商標)培地中、1/3の比でCD3/28 T cell expanderビーズを用いて活性化及び増殖させた。小規模な培養プレートでは、ヒトTregは2週間後におよそ100倍に増殖し、細胞内Foxp3染色によって測定される純度は維持された(n=15、図1D、1E)。より大規模な細胞バッグ培養(n=10、4バッチの100mLのMiltenyi T cell増殖バッグ、及び6バッチの0.3〜3LのLIFECELL培養バッグ)では、ヒトCD4+CD25+FOXP3+Tregは2〜3週間で100倍以上に増殖し、これは約10兆個の細胞に相当した(図1F)。14日間増殖させた試料では、これは約30〜約300倍の増加の倍数変化を表わす。これらの結果は、大規模な生体外増殖培養によって臨床的に有効な数のヒトTreg細胞を得ることができることを示すものであった。] 図1D 図1F
[0012] 2週目の増殖ヒトTregの純度を上述したような細胞内Foxp3染色を用いて評価した。10個の細胞バッグ培養において、平均で57.3%のFoxp3陽性細胞が得られた(それぞれ、37%、39%、45%、51.8%、62%、65%、68%、68%、68%及び70%)。更に、これらの細胞では、CD27、CD25、CTLA4、GITR、HLA−DR、CD39、CD62L、CCR4、CD49d、intergrinp7の強い発現が認められ、OX40、グランザイムB、CCR7の部分的な発現が認められたが、CCR5、CCR6、CCR8、CLA、CD106については陰性であった(図2)。これらの結果は、生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregが、ヒトTregの表現型の特徴の多くを維持していることを示すものである。2週間の培養では、これらのマーカーの発現は、Foxp3+集団とFoxp3−集団との間で有意な差は認められなかった(データは示さず)。しかしながら、3週目の培養では、Foxp3+細胞においてCD27、CD62L、CD25、及びCCR7が選択的に発現していた。Foxp3+細胞では、Foxp3−細胞と比較してCTLA−4、HLA−DRの発現も高率で認められた(図3A、3B)。] 図2 図3A
[0013] <生体外増殖させたTregがインビトロで能力を維持することを示す実施例>
生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregのインビトロでの抑制機能を評価するため、抗原提示細胞として同種樹状細胞(DC)を生成し、自家のCD4+CD25−T細胞を応答細胞として用いた。図4A及び4Bに示されるように、生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregは、MLR及びOKT3−誘導T細胞増殖アッセイの両方においてインビトロで強い抑制活性を示した。いずれのアッセイにおいても、増殖させたヒトTregは用量依存的にT細胞の増殖を阻害した(図4A、B)。生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregの大半のバッチでは、両アッセイにおいて、1/10〜1/27のTreg/Tエフェクター比で50%よりも高いT細胞増殖の阻害率を示した(図4)。更に、増殖させたヒトTregは、OKT3アッセイにおいてIFNyの生成を阻害した(図4C)。これらの結果は、生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregは強力なIインビトロ抑制活性を維持することを示すものであった。同時に、増殖させたヒトTreg細胞は、自家のCD4+CD25−T細胞増殖と比較して、同種CD4+CD25−T細胞の増殖を同等に阻害する能力を示した(図7A、7B)。] 図4A 図4C 図7A
[0014] ヒト樹状細胞(DC)を、接着細胞又はPBMCからCD14ビーズで精製した単核細胞から生成し、10%FCS、組み換えヒトGM−CSF(50ng/mL、R&Dシステムズ社(R&Dsystems))及びIL−4(25ng/mL、R&Dシステムズ社(R&Dsystems))の存在下、RPMI1640培地で培養した。サイトカイン及び培地は1日置きに交換した。5〜6日目にDCを収穫してインビトロ抑制アッセイで使用した。]
[0015] 本発明の教示に従って単離した、生体外増殖させたヒトTregのインビトロ抑制活性を、混合リンパ球反応(MLR)及び抗CD3抗体誘導T細胞増殖アッセイにおいて測定した。MLRアッセイでは、CD4+CD25−Tエフェクター細胞(1×105細胞/ウェル)を96穴U底プレートで同種ヒト樹状細胞(1×104細胞/ウェル)と培養した。]
[0016] 増殖させたヒトTregを連続希釈し、異なるTreg/Tエフェクター比で各培養に加え、細胞を6日間培養した。培養の最後の16時間において、3H−チミジン(1μCi/ウェル)を加えた。各プレートの細胞を収穫し、3H−チミジンの取り込み率をTopcount(パーキンエルマー社(Perkin Elmer))によりカウントした。3重の培養の1分当たりの平均のカウント数(cpm)及び標準偏差を計算した。増殖の阻害率(%)を次のように計算した。阻害率(%)=[(応答細胞のcpm−応答Tregのcpm)/(応答細胞のcpm)]×100]
[0017] 抗ヒトCD3抗体(OKT3、エビオサイエンス社(Ebioscience))誘導T細胞増殖アッセイ(OKT3アッセイ)では、CD4+CD25−T細胞及び同種DCを抗ヒトCD3抗体(1μg/mL、OKT3)の存在下、96穴プレートで培養した。増殖させたヒトTregを連続希釈し、異なるTreg/Tエフェクター比で各培養に加え、細胞を4日間培養した。抑制活性の読み取り値及び計算値は、MLRアッセイにおけるものと同様であった。]
[0018] <NOD/SCIDマウスにおける異種GVHD治療の実施例>
生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Tregのインビボ活性を、NOD/SCID(非肥満糖尿病/重度複合免疫不全症)マウスでヒトPBLにより誘導した異種GVHDのモデルにおいて更に評価した。異種GVHDは、調整したNOD/SCIDマウスにヒトPBLを脾臓内注射することによって誘導した。図6A〜6Cに示されるように、ヒトPBLの移植後、レシピエントNOD/SCIDマウスは、例えば曲がった背中、下痢及び体重の減少といったGVHD様の症状を呈し、マウスは通常4週間以内に死亡した。] 図6A 図6B 図6C
[0019] 生体外増殖させたTregを、NOD/SCIDマウスの脾臓にPBLと同時移植した場合、NOD/SCIDマウスの生存率は大幅に向上した(図6A)。増殖させたTregとともにヒトPBLを投与した8頭のマウスの内、1ヶ月以内に死亡したのが1匹のみであったに対して、ヒトPBLのみを投与した6頭のNOD/SCIDマウスの内、5匹が1ヶ月以内に死亡した。同時に、生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3 Tregは更に、NOD/SCIDマウスにおいて曲がった背中及び体重減少といったGVHDの症状を大幅に低減させた(図6B、6C)。更に、増殖させたヒトTregは、hu−PBL−NOD/SCIDマウスにおいてヒトIgG及びIgMの血清レベルを阻害した。ヒト細胞の注射の2週間後、増殖させたヒトTregを同時移植したhu−PBL−NOD/SCIDマウス(n 7)の血清中におけるヒトIgG及びIgMの平均濃度が、それぞれ63.04pg/mL及び4.548pg/mLであったのに対して、ヒトTregを移植しないhu−PBL−NOD/SCIDマウス(n 5)では1163pg/mL及び16.398pg/mLであった(図6D、6E)。この結果は、増殖させたTregがヒトB細胞の活性化及び増殖を阻害したことを示唆するものである。同時に、この実験では、増殖させたヒトTreg及びPBLは異なるドナーに由来するものを使用したが、このことは、第三者に由来するヒトTregがhu−PBL−NOD/SCIDモデルにおいてGVHDを防止したことを示唆するものである。] 図6A 図6B 図6D
[0020] OKT3により活性化した正常なドナーのPBMCをNOD/SCIDマウスの右耳に皮下注射することによってDTH(遅延型過敏症)様の局所炎症を誘導した。DTHの強度を、細胞移植の24時間後に測定した耳の厚さによって判定した。図5に示されるように、OKT3で活性化した正常ドナーのPBMCは、同量のPBSを投与したネガティブコントロールの耳と比較して顕著なDTHを誘導した。生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Treg(PBMCとは異なるドナーに由来するもの)を1/2のTreg/PBMC比で、活性化させた正常ドナーPBMCとともに同時注射すると、増殖させたヒトTregは、OKT3で活性化したPBMCによって誘導される耳の腫れを顕著に阻害した(図5)。しかしながら、同量の増殖させない非Treg(CD4+CD25−T細胞)を、活性化したPBMCと同時注射した場合には耳の腫れを阻害しなかった。この結果は、生体外で増殖させたヒトTregが養子移植による局所的DTH反応を阻害したことを示すものであり、増殖させたTregが局所的な組織環境においてその免疫抑制活性を維持していることを示すものである。] 図5
[0021] ヒトPBMCをNOD/SCIDマウスに養子移植することによって誘導したDTH(反応)を、Xuらによる報告(19)に基づいた改変プロトコールによって発展させた。簡単に述べると、ヒトPBMC(1×107細胞)を、生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Treg(5×106細胞)の存在下又は非存在下で抗ヒトCD3抗体(OKT3、マウス1頭当たり10μg、エビオサイエンス社(Ebioscience))と混合し、NOD/SCIDマウスの右耳に25μLの最終容量で皮下(s.c.)注射した。同じ容量のPBSを同じマウスの左耳に内部コントロールとして注射した。養子移植されたヒトPBLの活性化によって誘導されるDTH様の局所炎症である耳の腫れを、Series1010 Starrettカリパーにより細胞注射の24時間後に測定した。細胞注射の前に測定した耳の厚さを基準コントロールとして用いた。]
[0022] ヒト細胞を移植する1日前に、NOD/SCIDマウスに放射線を照射した(300radのγ線放射)。この後、マウスに20μLの抗アシアロGMI抗体(和光純薬工業、日本・大阪)を、ヒト細胞の移植後−1、7、14、及び21日目に腹腔内(i.p.)注射した。健康な正常ドナーから得たヒトPBL(1×107細胞/マウス)を単独で、又は生体外増殖させたヒトCD4+CD25+Foxp3+Treg(1×107細胞/マウス)と混合して、調整したNOD/SCIDマウスの脾臓に注射するか、調整したNOD/SCIDマウスに静脈内注射した。ヒト細胞の脾臓内移植の詳細な手順については、デプラテレ(Depraetere)Sらにより以前に述べられている(Depraetere S et al. J. lmmunol. 2001:166:2929-2936)。マウスの生存率、並びに曲がった背中、下痢、及び体重といったGVHDの症状を毎日観測した。細胞の移植後、キメラNOD/SCIDマウスから血漿を毎週回収し、ELISAキット(アルファ・ダイアグノスティック・インターナショナル(Alpha Diagnostic International)テキサス州)を用いてヒトIgG及びIgMレベルを求めた。]
[0023] 以上、本発明を特定の実施形態に照らして説明したが、当業者であれば、発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況に適合するように様々な変更を行うことが可能であり、発明の要素を均等物に置き換えることが可能であることは理解されるであろう。したがって、本発明は、本発明を実施するうえで考えられる最良の態様として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、付属の請求項の範囲及び趣旨に包含されるすべての実施形態を含むものである。]
[0024] 〔実施の態様〕
(1)生体外で増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞を用いて移植片対宿主病の影響を低減させるための方法において、
CD4+CD25+制御性T細胞を含む末梢血単核球を含む試料を、ヒトドナーから抽出する工程と、
前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮することによって、濃縮CD4+CD25+制御性T細胞を生成する工程と、
前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞の集団を増殖させる工程と、
前記増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞の一部をヒトに投与して移植片対宿主病を治療する工程と、を含む、方法。
(2) 前記制御性T細胞を濃縮する工程が、全血から前記末梢血単核球を分離する工程を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記末梢血単核球を分離する工程が、密度勾配遠心分離を含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程が、抗体を用いて非CD4細胞を除去することによってCD4+細胞をネガティブ単離する工程を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程が、抗ヒトCD25抗体を用いてCD4+CD25+細胞をポジティブ単離する工程を含む、実施態様4に記載の方法。
(6) 前記集団を増殖させる工程が、少なくとも1週間にわたり、かつ3週間未満で行われる、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記集団を増殖させる工程が、約2週間にわたり行われる、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程により、濃縮試料が生成され、該濃縮試料は、前記濃縮試料中の全細胞集団に対してCD4+CD25+制御性T細胞が40%〜78%であるような濃縮試料である、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記集団を増殖させる工程の後に、前記試料が全細胞集団に対して40%〜78%のCD4+CD25+制御性T細胞を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞の濃度が、増殖の前後の両方において約10%の範囲内で等しい、実施態様8に記載の方法。]
[0025] (11) 前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞が、第三者由来のヒトTreg細胞を含む、実施態様1に記載の方法。
(12)生体外で増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞を用いて移植片対宿主病の影響を低減させるための方法において、
試料中のCD4+CD25+制御性T細胞を濃縮することによって、濃縮CD4+CD25+制御性T細胞を生成する工程と、
前記分離されたCD4+CD25+制御性T細胞の集団を増殖させる工程であって、前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞の純度が、増殖の前後の両方において約10%の範囲内で等しい、工程と、
前記増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞の一部をヒトに投与して移植片対宿主病を治療する工程と、を含む、方法。
(13) 前記集団を増殖させる工程が、少なくとも1週間にわたり、かつ3週間未満で行われる、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記集団を増殖させる工程が、約2週間にわたり行われる、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記集団を増殖させる工程が、30倍の増加以上から300倍の増加以下の範囲の細胞集団の倍数変化をもたらすだけの充分な期間にわたって行われる、実施態様12に記載の方法。
(16) 前記倍数変化が、80倍の増加以上かつ150倍の増加以下である、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞が、第三者由来のヒトTreg細胞を含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 少なくとも40%がCD4+CD25+制御性T細胞である、複数個の細胞を含む、生体外細胞試料。
(19) 前記CD4+CD25+制御性T細胞が、Foxp3を発現する、実施態様18に記載の細胞試料。
(20) 前記CD4+CD25+制御性T細胞が、CD27、CD25、CTLA4、GITR、HLA−DR、CD39、CD62L、CCR4、CD49d、及びintergrinp7を発現する、実施態様19に記載の細胞試料。]
[0026] (21) 前記CD4+CD25+制御性T細胞が、CCR5、CCR6、CCR8、CLA、及びCD106を発現しない、実施態様20に記載の細胞試料。]
权利要求:

請求項1
生体外で増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞を用いて移植片対宿主病の影響を低減させるための方法において、CD4+CD25+制御性T細胞を含む末梢血単核球を含む試料を、ヒトドナーから抽出する工程と、前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮することによって、濃縮CD4+CD25+制御性T細胞を生成する工程と、前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞の集団を増殖させる工程と、前記増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞の一部をヒトに投与して移植片対宿主病を治療する工程と、を含む、方法。
請求項2
前記制御性T細胞を濃縮する工程が、全血から前記末梢血単核球を分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記末梢血単核球を分離する工程が、密度勾配遠心分離を含む、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程が、抗体を用いて非CD4細胞を除去することによってCD4+細胞をネガティブ単離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
請求項5
前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程が、抗ヒトCD25抗体を用いてCD4+CD25+細胞をポジティブ単離する工程を含む、請求項4に記載の方法。
請求項6
前記集団を増殖させる工程が、少なくとも1週間にわたり、かつ3週間未満で行われる、請求項1に記載の方法。
請求項7
前記集団を増殖させる工程が、約2週間にわたり行われる、請求項6に記載の方法。
請求項8
前記CD4+CD25+制御性T細胞を濃縮する工程により、濃縮試料が生成され、該濃縮試料は、前記濃縮試料中の全細胞集団に対してCD4+CD25+制御性T細胞が40%〜78%であるような濃縮試料である、請求項1に記載の方法。
請求項9
前記集団を増殖させる工程の後に、前記試料が全細胞集団に対して40%〜78%のCD4+CD25+制御性T細胞を含む、請求項8に記載の方法。
請求項10
前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞の濃度が、増殖の前後の両方において約10%の範囲内で等しい、請求項8に記載の方法。
請求項11
前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞が、第三者由来のヒトTreg細胞を含む、請求項1に記載の方法。
請求項12
生体外で増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞を用いて移植片対宿主病の影響を低減させるための方法において、試料中のCD4+CD25+制御性T細胞を濃縮することによって、濃縮CD4+CD25+制御性T細胞を生成する工程と、前記分離されたCD4+CD25+制御性T細胞の集団を増殖させる工程であって、前記試料中の前記CD4+CD25+制御性T細胞の純度が、増殖の前後の両方において約10%の範囲内で等しい、工程と、前記増殖させたCD4+CD25+制御性T細胞の一部をヒトに投与して移植片対宿主病を治療する工程と、を含む、方法。
請求項13
前記集団を増殖させる工程が、少なくとも1週間にわたり、かつ3週間未満で行われる、請求項12に記載の方法。
請求項14
前記集団を増殖させる工程が、約2週間にわたり行われる、請求項13に記載の方法。
請求項15
前記集団を増殖させる工程が、30倍の増加以上から300倍の増加以下の範囲の細胞集団の倍数変化をもたらすだけの充分な期間にわたって行われる、請求項12に記載の方法。
請求項16
前記倍数変化が、80倍の増加以上かつ150倍の増加以下である、請求項15に記載の方法。
請求項17
前記濃縮されたCD4+CD25+制御性T細胞が、第三者由来のヒトTreg細胞を含む、請求項12に記載の方法。
請求項18
少なくとも40%がCD4+CD25+制御性T細胞である、複数個の細胞を含む、生体外細胞試料。
請求項19
前記CD4+CD25+制御性T細胞が、Foxp3を発現する、請求項18に記載の細胞試料。
請求項20
前記CD4+CD25+制御性T細胞が、CD27、CD25、CTLA4、GITR、HLA−DR、CD39、CD62L、CCR4、CD49d、及びintergrinp7を発現する、請求項19に記載の細胞試料。
請求項21
前記CD4+CD25+制御性T細胞が、CCR5、CCR6、CCR8、CLA、及びCD106を発現しない、請求項20に記載の細胞試料。
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引用文献:
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